■日本の伝統工芸のご紹介
日本の伝統工芸というと、何を思い浮かべるでしょうか。
その名も「japan」と呼ばれる漆器でしょうか、愛らしいこけしでしょうか。
ここでは、意外に思われるかもしれませんが、
失われる運命の工芸品――「日本刀」についてご紹介しましょう。
■刀
いまや、日本人でなくとも「それナニ?」という人もいないほど有名になった武器のひとつですが、その武器の装飾の美しさでも世界的に有名な美術品です。
日本刀が認められている要素に、「折れず、曲がらず、良く斬れる」という点があります。
この3点は、絶妙なバランスによって保たれていて、どこかひとつを突出させようとすると簡単に折れてしまったりします。
そして、日本刀を工芸品として紹介した理由のひとつとして、「現代科学の粋を持ってしてもこのバランス再現ができない」ことがあげられます。
何回か、「もっと固い材質を使えばもっと強い刀ができるのでは?」とか「機械でこれを作れるようになれば大量生産ができるのでは?」とチャレンジを試みたこともあったそうですが、結局、「職人が昔の材質で、昔のやり方で打つしかない」という結果に落ち着いてしまったんだそうです。
こんなに科学が発達した現代においても、再現ができない。
それだけ、日本刀の技術というのは「完成」されたものだったのです。
そういう理由で、いまだにちゃんとした日本刀が欲しいならば、日本の職人(もしくは「継承した弟子」)という立派な日本を代表する工芸品となっています。
そして、同じ理由で、将来、純粋な意味での日本刀はなくなってしまうかもしれないのです。
純粋な継承者の不足――それは日本刀の職人においても例外ではありません。
技術なら、マニュアルとしては残せるかもしれません。
しかし、日本刀の職人にはそれすら許されません。
言葉では表現できないような繊細な観察眼と知識。それを言葉で記入することができないのです。
世界で最後の鍛冶職人が消えたとき、この文化も消えてしまうのです。
「“日本刀”という綺麗な芸術品があったんだって。観たこともないけどね」
そんな会話が聞こえる未来もそう遠くないのかもしれません。